今に始まったことではありませんが、ここ最近また「 新型コロナの指定感染症解除 」に関する報道が目立つようになってきました。
ハナオは根っからの解除反対論者ではありませんけど、ググッてみると検索上位のサイトは賛同者の記事ばかりで、しかも押しなべて語調が強い!
どの程度の想像力や柔軟性を以て書いているかは計り知れませんが、偏屈が過ぎるように受け取れてしまいます。
では、もし新型コロナが指定感染症から解除されたら何が起き、どんなデメリットが考えられるのか?
前者とはベクトル逆向きに偏らせた視点で検証してみました。
新型コロナ「指定感染症」解除にどんなデメリットがあるのか?
新型コロナ「2類相当」見直しへ 首相、28日にも対策パッケージ表明
8月27日にYahooニュースの見出しを飾った産経新聞の記事タイトルです。
すわ、指定感染症の解除だ!と、見当違いのコメントを書きこんでいたヤフ民もいましたが、そもそも指定感染症の解除なんていつでも簡単にできるものではありません。
車のシートベルト外すのとは訳が違いますから。
論点は、新型コロナウイルスを指定感染症のまま、現在の二類感染症の措置の準用を見直す、ということです。
以下、記事内では感染症分類の数字を漢字から算用に変えさせていただきます。
新型コロナは2類or5類、どちらが相応しいのか?
さて、政府が新型コロナを指定感染症のまま「2類相当」から見直すとすれば、願望も含めて「5類相当 」になると想定される方が多いようです。
いずれにしても来年の2月になれば晴れて新型コロナの指定感染症の解除が可能になりまして、1年間の延長措置が施されなければ「1~5類 」のいずれかに分類されます。
常道で考えれば、同じエンペローブウイルスによる感染症のSARSもMARSも「2類 」ですから、新型コロナもそこに落ち着いて然るべきです。
ところが、そんなのイヤだとダダをこねるワガママ坊主はたくさんいまして、政府としても「 5類 」にすると美味しい処もあるので、今のうちから種を蒔いておきたい……のが「 見直し 」に前向きな本音なのでしょう。
新型コロナが5類に分類されたら何が起こるのか?
もし新型コロナが「2類」ではなく「5類」に分類されちゃったら、一体何が起こるのか?
まずは、今年1月に国立国際医療研究センターの忽那賢志先生が挙げてらした“新型コロナが指定感染症になることのメリット”の見出しを拝借引用させていただきます。
以下のとおりです。
【メリット】
1、患者に対する入院措置を取ることができる。
強制力のことです。患者本人が拒否しても法に基づいて隔離措置をおこなえます。
2、入院費が公費負担になる。
ハナオのごとき、貧乏人でも国が支払ってくれるので無料で入院加療ができるわけです。
3、届出が必須となり発生動向調査が容易となる。
感染者が発覚した場合、彼らを取りこぼすことなく全数把握が可能になります。
4、接触者の把握が容易になる。
いつ誰とどこで会ったかなど行動調査がおこなえ、感染の拡大を防ぐことができます。
5、おそらく医療従事者の感染リスクが減る。
対処療法の確立、専用機器・設備の準備・導入による、接触する医療従事者への二次感染防止。
忽那先生は、ここでは「 指定感染症 」を「 2類( 相当 ) 」前提で書かれています。
新型コロナが見直しもしくは解除後「 5類 」に分類されてしまうと、上記のメリットがすべて無くなります。
つまり……
・患者が入院するかは自由意志。自宅待機も本人任せ。
・医療費自腹。ハナオのごとき貧乏人でも例外は無い。
・どこの誰がコロナ患者か知る由も無く、ウイルスの行方も見当つかず。
・片田舎の町医者にもコロナ患者がホイホイ診察を受けにやってくる。
こうなるわけです。
新型コロナが5類に分類されるメリットとは?
でもこれだけではフェアじゃないので、同じく忽那先生いわくの指定感染症のデメリットも挙げ、その逆も検証しておきましょう。
デメリット逆になればメリットへと変わるはずですが……
【デメリット】
1、感染症指定医療機関に負荷がかかる。
2、感染症指定医療機関以外の病院での警戒度が下がる
3、人権に関わる問題。
1と3に関しては確かに好転します。
まず3から書きますと、本人の意思に関わらず強制的に病院や施設に隔離され、腫れ物に触るかのごとく扱われることが無くなります。
どこぞの国だったら、マスクなんか着けずに街中を闊歩できるわけです。
次に1ですが、今までは指定の医療崩壊でしか対応できなかった検査や治療があまねく解放され、病院単体と医療従事者の負担が分散・軽減されます。
これは確かに大きなメリットですね~、明朗快活どこ切ってもメリットしかありません。
ですから指定感染症解除賛同者たちは皆「 医療崩壊を防ぐ 」ことに主眼を置かれて口角泡を飛ばしていらっしゃいます。
でもね、結果PCR検査の拡充に繋がるかというと、そんなことは無いと思いますよ。
新型コロナが「 5類 」になってもPCR検査数は増えない理由
だって、指定感染症から外れたら、身銭切ってまで検査を受ける濃厚接触者・軽症・無症状の人が激減するのは明白ですから。
指定感染症から外れるというのはタガが緩むということです。
個人々々は緊迫感から解放されますので、己の健康・生命に危機が及ばなければ能動的に検査を受けなくなります……四六時中コロナに怯えて暮らすなんてもうしな~い!ってね。
その一方、感染者に対する偏見・倦厭・疎隔は当分続くでしょうから、そうなると誰が好き好んで自ら俎上に載りますか?
PCR検査には偽陽性・偽陰性もありますし、一度受けたくらいで意味を為さないのは既知の事実です。
万が一、検査で陽性が出てしまったら、学校・職場を休んで外出を控え人との接触を断ち伝播させた可能性がある人に事実を伝え陰性になるまで自腹で検査を受け続けるか、誰にも知らせず会いたい人に会い行きたい場所に行きウイルスを巻き散らかしながらでもどうせ法律違反じゃないし罪にもならないし勝手やらせてもらうよの人になるか、この二択です。
中等症・重症だと前者、軽症・無症状なら後者の行動をとる可能性は高いと思われますが、いずれにしても職場などで半強制や義務付けで費用の補填でもしてくれない限り、具合も悪くないのに1回数万円も払うPCR検査を繰り返し受ける人が増えるとは到底思えません。
一方、コロナが「 2類 」相当の今でも民間の医療施設へ能動的にPCR検査を受けに行かれている人はいます。
彼らが検査を受ける理由はさまざまでしょうけど、このような方々はコロナが「 5類 」になっただけだと減ることはあっても増えません。
ただ、「 5類 」になったことが原因でコロナの感染が更に拡大すれば、目論見どおりPCR検査を積極的に受ける人は増えます。
永遠にいたちごっこだなぁ~……。
結論:新型コロナは「2類」への分類が適切
さてだいぶ横道にそれましたが、残る2の逆、すなわち“感染症指定医療機関以外の病院での警戒度が上がる”ことはメリットとは言えませんね。
町医者の先生や看護師さんだってコロナに罹りたくは無いでしょうし、診察拒否やたらい回しが起きかねません……っていうか、起きるに決まっているでしょ!
早くも、この冬はインフルエンザも含めて発熱外来は一切受け付けないと宣言している病院も出てきています。
そりゃ、医者や病院だって風評被害は受けたくないでしょうし、新たな防護具の調達や設備投資にはお金もかかるので、そう言いたくなる気持ちはわかりますけど、こちとら患者はめちゃくちゃ困ります。
人々の新型コロナに対する警戒心や危険度の認識は、今まで散々好き勝手やってきて信用が地に落ちた政府が指定感染症を解除したくらいでは消せません。
元より、新型コロナウイルスは、絶対に“ただの風邪”では無いですし“インフルエンザと一緒の扱い”も誤りです。
ですから、指定感染症の解除はまだしも、新型コロナの「 5類 」への分類は不相応です。
痛みを伴うのを承知のうえで申しますが、やはり新型コロナは「 2類 」にすべきだと思います。
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最期までお読みいただきありがとうございました。