「 Something 」ザ・ビートルズ
作詞・作曲:ジョージ・ハリスン
1969年9月26日発売 アルバム「 アビイ・ロード 」収録
卵の殻は包丁を使って割ります、ハナオです。
今回のイントロが短い名曲たちは、ザ・ビートルズの「 サムシング( Something ) 」を取り上げます。
「 サムシング( Something ) 」について
ジョージ・ハリスンの代表的傑作
「 サムシング 」はビートルズ解散の前年に発売された21枚目のオリジナルアルバム「 アビイ・ロード 」の収録曲で、すぐのちに「 カム・トゥギャザー 」との両A面としてシングルカットされました。
ポール・マッカートニー、ジョン・レノンの2大スターの影に隠れてグループの中でも地味な存在だったジョージ・ハリスンの非凡な才能が凝縮された彼の代表作で、前出のポール、ジョンもこの歌を高く評価していました。
ジャージ自身も著書「 I ME MINE 」の中で、“150種類以上のカバーソングを生んだ自分の最高のヒットソングだ”と誇っています。
「 サムシング 」は、そのとき妻であったパティ・ボイドのために書かれたラブソングとして知られ、当時のジョージの発言もそれを示唆していましたが、後年になって実はパティも含む特定の女性のために書いたものではないと翻意しています。
音楽的には、レイ・チャールズサウンドをイメージしながら作ったとも伝えられ、ジョー・コッカーのカバーでその意向を垣間見ることができます。
発表されなかった歌詞
「 サムシング 」は愛する女性への思いを情熱的な言葉で綴ったストレートなラブソングです。
その奇を衒わない歌詞ゆえ、さまざまなカテゴリーのアーティストに違和感無くカバーされ、また他のレパートリーやアルバムなどへの収録でも溶け込んでいけています。
ところで、1969年2月25日、ジョージ26歳の誕生日にスタジオを訪れて吹き込んだデモ版には「 アビイ・ロード 」バージョンには収録されなかった歌詞があります。
引用して紹介いたしましょう。
You know I love that woman fo music
And I need her all the time
And you know what I'm telling to you
That woman, that woman don't make me blue
このデモ版は1996年発売の「 ザ・ビートルズ・アンソロジー3 」で聴くことができます。
アレンジの特徴
「 サムシング 」の演奏速度はBPM70、サビの部分では若干テンポアップしています。
イントロはドラムフィルが2拍。
ハナオは自分のバンドで「 サムシング 」をコピーしまして、そのときのドラマーがこのフィルを「ダダ、ダダ、ダダ」とこともあろうか2つ刻みで叩いたので「 そこは6連でしょう! 」と強めにツッコんだことがあります。
その後リードバーが1小節、ここのコード F → Eb → G が「 サムシング 」のコード進行を語る際によく取り上げられます。
Aメロに続くときはコードが素直にトニックの C へ、サビへつながるときは少々強引にコードが転調して A へ。
理論云々よりも楽曲を“流す”“盛り上げる”の展開の妙に唸らざるを得ません。
歌唱部では何度も登場するクリシェが印象的で、ベースが後述するように動き回っているので、オルガンとストリングスで内声の変化を響かせています。
中間部のギターソロはジョージによるもの。
気だるさが味わい深いフレーズですが、これはオルガン用のロータリースピーカーにつないで鳴らされたサウンドです。
さて、「サムシング」と言えばポールの奏でるベースギター。
バラード曲でここまで縦横無尽に弾きまくっているベースにはなかなかお目にかかれません。
普通のバンドで他人の作ったしっとり系の歌でこんなやかましい?ベース弾いたら怒鳴られます。
しかし、ポールの音選びのセンス、ヴォーカルとの絡み、パターンによるフレーズの変化……これらが絶妙にギリギリでオンラインしています。
例えるなら、首が3本しっぽが2本腕はなくてデカイ翼が2枚背中に付き全身はゴールド口から引力光線を吐き鳴き声は電子楽器の隕石から生まれるという、あとなにかひとつ加えたらただの下品になってしまうところのギリギリの線で止めたがゆえに超カッコイイ宇宙怪獣になりました、みたいな……。
例えてますか、これ?
閑話休題。
「 サムシング 」のベースラインは音数こそ多いものの、演奏歴1年たらずのハナオでもさほど苦労せずに耳コピ可能でしたし、スケールのフィンガリング練習をきちんとこなしているベーシストであれば、難易度が高いと感じることはないでしょう。
ただ、1番・2番・3番でフレーズが全部違うので、コピーされる際は是非ともカッチリ音を拾われることをお勧めします。
演奏時間2分59秒。
アビイ・ロード
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。