「 となりのトトロ 」井上あずみ
作詞:宮崎駿 作曲・編曲:久石譲
1988年3月23日発売
コーヒーにミルクと砂糖は必ず入れるハナオです。
今回のイントロが短い名曲たちは、井上あずみさんの「 となりのトトロ 」を取り上げます。
「 となりのトトロ 」について
「 国民的大人気アニメの主題歌 」
「 となりのトトロは 」1988年に公開された、ジブリ作品が最も優しいファンタジーテイストに溢れた頃に作られ、未だに地上波の再放送で高視聴率を叩きだす奇跡の作品です。
ハナオはレーザーディスクで持っているにも関わらず、TVで何度やっていても観てしまいますものね~。
大好きなのです、トトロ!
テーマソングは、フジテレビ系列の人気番組「 クイズ!ドレミファドン! 」のアニメソングベスト10で毎回のようにランクインしている人気曲です。
ハナオは愛車のドライブBGMはメモリーカードに入れた2000曲ほどをランダムに再生していまして、ある日同乗していた親戚の子供3人が偶然かかった「となりのトトロ」に合わせてはじめた大合唱が微笑ましい想い出になっております。
「 サウンドトラック内の名曲たち 」
映画「 となりのトトロ 」に於いて、この歌はエンディングテーマとして使われましたが、オープニングの「 さんぽ 」も人気・知名度とも引けを取りません。
また挿入曲の「 五月の村 」「 ネコバス 」「 風のとおり道 」など映画のカットも相俟って印象深く、他の番組でのキャッチに使われたり、合唱・合奏曲の演目になることも多くあります。
「 風のとおり道 」はミッション系スクール主催のクリスマスコンサートにてハンドベルアレンジバージョンを聴いたことがありますが、伴奏部のアルペジオがまさに風の漣のようで、夢の世界に引き込まれてしまいました。
「 アレンジについて 」
イントロは2小節、木琴系電子合成音によるアルペジオと裏打ちのウッドブロックにハイトーンのベースギターが絡んで「 トットロ~トットッロ~♪ 」。
あ、やばい、このフレーズ聴いただけでちょっとウルッときそう……。
ここから4小節、8ビートのドラムとベース、キラキラ系音色のシンセピアノ、ストリングスが本物?のイントロを奏でます。
この先はAメロ → サビ → 間奏 → Aメロ → サビ →( 転調 )サビ → エンディング( フェードアウト )とパターンが進行、伴奏は前述のとおり一遍したノリをキープ。
…………ん~~、本当はこの後、作品の名場面とかお気に入りのセリフとかだけの話をしたいのですけど、音楽系ブログですからそーゆーわけにもいきませんし。
個人的に「となりのトトロ」のもうひとつのお気に入りポイント、コード進行を細かくいじってまいります。
となりのトトロ [DVD]
「 コード進行に1本負け! 」
調性はへ長調、オリジナルキーはF。
だれかが こっそり 小路に 木の実 うずめて
Aメロの出だし「 だれかがこっそり 」部分のコードは Ⅰ → ⅤonⅦ → Ⅵm → ⅢmonⅤ →Ⅳ のいわゆるカノン進行、ベースラインがダイアトニックで徐々に降りてきます。
「 小路に木の実 」は、Ⅳから小粋にサブドミナントマイナーのⅣm6。
慣れた手癖でつい7thを入れたくなってしまいますが、6度のGが次のドミナントコードのルート音を先行させ、ペダルノート的使い方で心地よく響かせています。
「 うずめて 」で、Ⅱm7onⅤ へとコードチェンジ。
ここも反射的にドミナント7thコードへと繋げてしまうところを、Ⅱm7onⅤのまま2小節引っ張り続け冒頭のコード進行に戻ります。
どうしてドミナント7thに行かないのか? その理由は後ほど……。
ちっさな芽 生えたら 秘密の暗号
森へのパスポート すてきな冒険はじまる
「 ちっさな芽生えた 」は、もう一度 Ⅰ → ⅤonⅦ → Ⅵm と進んできて、ここまでは一緒。
「 ら 」のところで2拍ずつ Ⅴm6 から Ⅵ7 と進行しますが、まず Ⅵ7 は次のⅡm7に対するセカンダリードミナントコードです。
Ⅵ7 は Ⅲm7 → Ⅵ7 に分解できますが Ⅲm7 のままだと一度目の「 (こっそ)り 」部分と同じ和音の響きになってしまうので、Ⅵ7 に対するサブドミナントの Ⅲm7 をサブドミナントマイナーの Ⅴm6 に置き換えて差異を生じさせているわけです。
「 秘密の暗号 」は、Ⅱm7 → Ⅳm6。
Ⅳm6は次にはトニックコードの Ⅰ が来ますので Ⅱm7 → Ⅴ7 で良いわけですが、ここもドミナント7thを使わずサブドミナントからのサブドミナントマイナー。
「 森へのパスポート 」、Ⅰ → Ⅵ7。
「 すてきな冒険はじま 」、Ⅳ。
「 る 」、はい、またも出ましたⅡm7onⅤ。
上三行部分をまとめて解説します。
Ⅵ7 は、Ⅱm7へのセカンダリードミナントコード。
ですから普通ならすぐ後ろにⅡm7を入れたくなるところをサブドミナントコードの Ⅳを挟んでワンクッション置いています。
そうやって溜めておいてⅡm7が来ますが、ここでもオンベースコードにしてドミナントコードの代理に使い、しかもまたまたⅤ7にはいかずコードチェンジせずに2小節引っ張ります。
となりのトトロ トトロ トトロ トトロ
「 となりのトトロトトロ 」、コードは Ⅰ → Ⅴ。
「 トトロトトロ 」、Ⅴ → #Ⅴdim → Ⅵm。
#Ⅴdim はよくあるパッシングディミニッシュコード、ベースが半音進行だったりトライトーンが解決したりで、あなたトトロっていうのね。
森の中に むかしから住んでる
「 森の中に 」、Ⅳm6 → Ⅲm7 → Ⅵm。
「 むかしから住んでる 」、Ⅱm7 → Ⅱm7onG。
ここでももうすっかりこの曲でお馴染みの Ⅱm7onG が出て、次にトニックの Ⅰ がきます。
サブドミナントマイナー Ⅳm6 の後ろからトニックまでのコード進行は「 36251 」と呼ばれる定番のコード進行です。
となりのトトロ トトロ トトロ トトロ
上記のコードは1回目と同じ、省略します。
子供のときにだけ あなたに訪れる 不思議な出会い
「 子供のときにだけ 」、Ⅳ → Ⅴ7onⅣ → Ⅲm7 → Ⅵm。
2番目にやっと Ⅴ7 が出てきましたがまだオンベースコードだしケーデンスでもありませんし。
「 あなたに訪れる 」、Ⅳ → Ⅱm7onⅤ。
Ⅱm7 は1小節のみ……ということは!?
「 不思議な出会い 」、Ⅴ7 → Ⅰ。
出た~! やっと出ました、歌も終わりになってついにドミナント7thコード。
つまりこれは、終止形が完成しきらないことによって歌がはじまってからのワクワク感をずっと持続させるという、心憎いばかりの演出上のテクニックなのです。
うわ~、このワザにはやられました。
袖釣り込み腰一本!!って感じです。
?
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。