チャームポイントは短い脚、ハナオです。
今回の目で見て耳で聴く音楽理論は、Section1「 楽譜と音符を学ぼう 」の第8回「 拍子もいろいろ、ノリもいろいろ 」( 後編 )です。
「 拍子の分類 」
「 変拍子 」( その他の拍子 )
「 変拍子 」は、前回の「 拍子もいろいろ、ノリもいろいろ 」( 前編 )で説明しました「 混合拍子 」のみを定義すべきとする説が主流です。
しかし、「 単純拍子 」と「 複合拍子 」以外を総して「 変拍子 」と考える旨も多く、実際にハナオのバンドライフに於いては、概ねこちらの意味合いで使われていました。
音のブログでは巷?に合わせてファジーに後者を採用いたします。
「 1拍子 」
少数のクラシックの楽曲で「 1拍子 」を謳っているものがあります。
拍子に「 1 」拍が存在するのかが頻繁に議論の対象となるのですが、決定権は作曲者にのみあります。
ハナオ個人の見解としては、「 弱拍 」が付随せずに「 強拍 」は成立しないと思いますので、「 2拍子 」が最小単位と考えます。
「 1拍子 」は、まったくリズムが存在しない、ただ不規則に旋律が並んでいるだけの楽曲だと言う人もいますが、そういうのはそもそも「 拍子 」すら無いのでは……。
結局のところ、なんだかよくわかんね~や、です(笑)
「 可変拍子 」
楽曲の途中で拍子が変わることを「 可変拍子 」といいます。
「 可変拍子 」の歌でわかりやすいのはわらべ唄の「 あんたがたどこさ 」。
「 4拍子 」「 2拍子 」「 3拍子 」がフレーズごとに激しく入れ替わります。
イントロが短い名曲たちで紹介した、ビリー・ジョー・トーマスの「 雨にぬれても 」のエンディングも「 可変拍子 」ですね。
「 ポリリズム 」
同一の楽曲内の別パートが、同時にそれぞれ別の拍子で演奏されるものが「 ポリリズム 」です。
Perfumeの同名タイトル歌のヒットで一般認知度がアップしたこの言葉ですが、上記の定義までは聞いたことあるものの、いまひとつ意味まではピンをきていないという方は案外多いようです。
サンプルとして曲を作りましたので、楽譜と音声データをアップしておきます。
楽譜の青い矢印で示したところから「 ポリリズム 」がはじまります。
キーボード、ベース、ドラムスは8ビートを演奏し続け、リードのシンセが8分音符6つのフレーズをループしながら旋律が上昇していきます。
バックリズムとメロディの拍子のズレを感じてください。
日本語では「 各声部異拍子 」の別呼称も使われますが、「 声部 」の単語だけで現代音楽に於ける「 ポリリズム 」を総括することはいささか無理があります。
細分化すると複数のリズムの同時演奏が「 ポリリズム 」、複数の異拍子の声部によるものが「 ポリメトリック 」、両方を総括して広義に示す「 ポリクロノミー 」といいます。
3つ以上の多数の別パートがそれぞれ異なった拍子で演奏されるものは「 マルティリズム 」といわることもあります。
なお、「 ポリリズム 」と逆に、複数の演奏パートが同じリズムの旋律で書かれたものを「 モノリズム 」といいます。
別パートが同じ音程の旋律を奏でる「 ユニゾン 」、瞬間的もしくは短時間的にリズムを同期させる「 トゥッティ 」も「 モノリズム 」に包括されるケースがあります。
このへんは後日別の記事で多角的に分析してみたいと思います。
「 拍子補足 」
「 アウフタクト 」
主小節の「 強拍 」の1拍目より前にはじまっている旋律部を「 アウフタクト 」と呼びます。
「 アウフタクト 」はドイツ語で、指揮者がタクトを振り上げる( 裏拍 )様子から名づけられました。
日本語で「 弱起 」といい、小節の規定拍数に満たない「 アウフタクト 」は「 不完全小節 」として「 小節 」にはカウントしません。
「 アウフタクト 」=「 弱起 」に対して、小節の1拍目からメロディがはじまることを「 強起 」といいます。
「 シンコペーション 」
小節内での拍子には「 強拍 」と「 弱拍 」があることは、前回の「 拍子もいろいろ、ノリもいろいろ 」( 前編 )で説明したとおりです。
これに対し、旋律やリズムのアクセントを「 強拍 」とズラすことを「 シンコペーション 」といいます。
「 ノリ 」
この項で説明する「 ノリ 」とは、譜面に記された「拍子」に対するリズムの演奏指定のことをいいます。
一般的に「 ノリ 」を表現には「 イン・〇〇 」と「 ビート 」が用いられますが、「 拍子記号 」とは異なる( 見せかけの数字上同じになるケースもあるが意味は異なる )「 拍子 」を単位として考察されることも多く、使い慣れるまでは少々の混乱を招きます。
「 イン・〇〇 」
前回の記事で説明しました、日本語でいうところの「 拍 」のことです。
五線の左上に書き込まれ、「 〇〇 」の部分には英語読みの数字が入ります。
小節ごとの最も大きなノリの単位で、以下の4種類があります。
「 イン・ワン 」( in 1 )
小節の1拍目だけにリズムの「 ノリ 」があり、テンポの速いワルツなどに用いられます。
「 イン・ツー 」( in 2 )
2/4( 4分の2拍子 )、2/2( 2分の2拍子 )の「 2拍子 」の「 ノリ 」ですが、6/8( 8分の6拍子 )も大きなうねりの「 ノリ 」でカウントされ「 イン・ツー 」に分類されます。
「 イン・スリー 」( in 3 )
3/4( 4分の3拍子 )に代表される「 3拍子 」の「 ノリ 」です。
9/8( 8分の9拍子 )も「 イン・スリー 」に該当します。
「 イン・フォー 」( in 4 )
4/4( 4分の4拍子 )に代表される「 4拍子 」の「 ノリ 」です。
12/8( 8分の12拍子 )に「 イン・フォー 」を適応させることもあります。
「 ビート 」
「 ビート 」とは、小節内を占める音符から割り出される演奏時の基本リズムのことです。
楽曲のほとんどが「 2ビート 」「 4ビート 」「 8ビート 」「 16ビート 」の4種類に大別され、「 3拍子 」の曲を「 3ビート 」と言い換えることはありません。
各ビートの違いは、楽譜をアップするよりも実際の楽曲を聴いて感覚から覚える方をお勧めします。
「 2ビート 」
行進曲・軍歌など「 1、2、1、2 」の“二歩ノリ”です。
ダンスミュージック、レゲエ、カントリーなどを「 2ビート 」に定義する考えもありますが、「 4ビート 」「 8ビート 」との線引きは曖昧です。
「 4ビート 」
ジャズミュージックの多くが「 4ビート 」で演奏されます。
2拍目と4拍目の偶数拍にアクセントがあります。
「 8ビート 」
ロック、ポップス、歌謡曲などもっとも多くの楽曲に用いられているビートです。
ドラムの演奏がある場合、ハイファットシンバルは基本8分音符を刻みます。
「 16ビート 」
ファンク、フュージョンなどに多くみられるスタイルです。
音符・休符の細かい符割りで演奏の難易度が高いことが特徴です。
次回の目で見て耳で聴く音楽理論は、Section1「楽譜と音符を学ぼう」の第9回「 楽譜の上は記号だらけ 」( その1 )です。
最後までお読みいただきありがとうございました。