ドラクエⅤでは毎回フローラを選んでしまいます、ハナオです。
今回の目で見て耳で聞く音楽理論は、Section1「 楽譜と音符を学ぼう 」の第9回「 楽譜の上は記号だらけ 」( その1 )です。
「 速度記号 」
楽曲を演奏する速度は「 速度記号 」で指定します。
「 速度記号 」は、主に「 速度標語 」と「 メトロノーム記号 」2つの方法のどちらかを用います。
「 速度標語 」
主にクラシック系音楽の楽譜に記され、17~18世紀のバロック時代に作曲者が演奏者へ間接的に演奏速度を伝えるために言葉による相対的な言い方が為されるようになりました。
これら複数の言い回しが徐々に統一され「 速度標語 」が出来上がりました。
統一されたといっても感覚的で、たとえば“ 歩くような速さで”の「 Andante( アンダンテ )」も、中世の宮中で優雅に歩を進める様と、渋谷のスクランブル交差点をせかせか渡る暮らしの双方とも日常であり、ファジーな標語だけでは判断基準が曖昧です。
実際には後述する「 速度記号 」によるテンポとのリンクがざっくりと決められており、演奏者による演奏速度の極端な差異はおこりえません。
一般的によく用いられているものをピックアップしてご紹介します。
上記の「 速度標語 」には接頭詞がくっついたり語尾が変化して意味合いを強まったり弱まったりもします。
また、挙げた以外の「 速度標語 」には、演奏者の情感や表情にまで及ぶマインドコントロールまがいの指示をおこなうものまであります。
今回は基本的なものだけ押えていただいて、残りは目で見て耳で聴く音楽理論のコーナーで機会があったら紹介したいと思います。
なお、上記の「 速度標語 」はイタリア語で、この他に一覧に載せた和訳による日本語や、ときに英語が使われるケースもあります。
「 メトロノーム記号 」
メトロノームは、音楽室のピアノの上が指定席と法律で決まっている、円錐や角錐形の本体の真ん中で錘( おもり )のついた棒が左右へ振れるこの↓機械です。
均等なテンポでカチカチとリズムを刻み、今では電子式やスマホのアプリでも同機能のものが入手できます。
「 メトロノーム記号 」は、1分間に刻む「 4分音符 」の数が単位で、もし「 M.M. = 120 」であれば、1分で「 4分音符 」120個が鳴らせる演奏速度の指定になります。
メトロノームのテンポは「 M.M. 」の他に「 BPM 」が単位に用いられ意味合いはどちらも同じ、「 M.M. = 120 」であれば「 BPM = 120 」になります。
ポップスやDTM( デスク・トップ・ミュージック )ではもっぱら「 BPM 」が使われますので、音のブログでもテンポは「 BPM 」の方を採用しています。
それぞれ「 M.M. 」は「 メトロノーム・マーク 」、「 BPM 」は「 ビート・パー・ミニッツ 」の略です。
なお、「 M.M. 」をメトロノームの機構を一般に広めたドイツ人発明家の名前から取って「 メルツェルのメトロノーム 」の略としている説もありますが、これは“音楽室のピアノの上~”のくだりと同レベルの大間違いですのでご注意ください。
そもそもなにゆえテンポの指定が人名になるのか意味が通りません。
「 メトロノーム・マーク 」とは本体に書かれている目盛のことで、該当する数字に錘を合わせてテンポを決定するゆえ、「 M.M. 」= 「 メトロノームがテンポを打つ速度 」になるわけです。
さて、「 メトロノーム記号 」は数字が大きいほど演奏速度が上がっていきます。
「 速度標語 」とおおよその数字で置き換えますと、“歩く速さで”の「 アンダンテ 」が「 BPM = 70 」、“ほどほどの速さで”の「 モデラート 」が「 BPM = 80 」、“軽快な速さで”の「 アレグロ 」が「 BPM = 130 」くらいとなっています。
「 秒数指定の速度表記 」
「 速度記号 」には、上記2種類以外で稀にごく短い部分だけを演奏時間で指定する速度表記の方法もあります。
例として、「 8bars = 15sec. 」であれば、“8小節を15秒で演奏せよ”の意味になります。
「 速度の変更 」
演奏の途中で速度の変更を指示するときは、固有の標語を用います。
これらを譜面に書くときは、その略称を五線の下に配置します。
「 速度が徐々に変化 」
accelerando( アッチェレランド ) 。略称は「 accel. 」。“次第に速く”の意味です。
ritardando( リタルダンド )。略称は「 rit. 」。“次第に遅く”の意味です。
rallentando( ラレンタンド )。略称は「 rall. 」。リタルダンド同様“次第に遅く”の意味ですが、それに加えて演奏のテンションを緩やかに落としつつ、の意向もあります。
poco( ポコ )、poco a poco( ポコ ア ポコ )。上記3つの標語の前に付加し、時間的な変化を緩やかにするよう促します。
「 速度を少し変化 」
piu mosso( ピウ モッソ )。“少しだけ速く”の意味です。
memo mosso( メモ モッソ )。“少しだけ遅く”の意味です。
「 速度を戻す 」
a tempo( ア テンポ )。“前の速度で”の意味です。
tempo Ⅰ( テンポ プリモ )。“最初の速度で”の意味です。
「 速度と音符の変更 」
これら標語は譜面に書くときは、五線の上に配置します。
Double tempo( ダブル テンポ )。標語指示前までの2倍の速さで演奏する、の意味です。
Half tempo( ハーフ テンポ )。標語指示前までの1/2倍の速さで演奏する、の意味です。
Double feel( ダブル フィール )。演奏速度は変えずに、標語指示前までの2倍の長さの音符に置き換えて演奏する、の意味です。
Half feel( ハーフ フィール )。演奏速度は変えずに、標語指示前までの1/2倍の長さの音符に置き換えて演奏する、の意味です。
「 速度の解放と保持 」
Free tempo( フリー テンポ )。いわゆる演奏者任せ。とはいっても“好き勝手に弾いて良い”ではなく、楽曲中に幾たびか速度の変化がある場合に随意にて、の意味です。
in tempo( イン テンポ )。一定の速度の維持を心掛けて、と標語というよりは演奏者に注意を促すために用いられる言葉です。
「 演奏の停止 」
fermata( フェルマータ )。速度変更の標語の後に一時的な演奏の中断を指示します。下図のような特殊な記号を用い、フェルマータの後は「 複縦線 」で区切られ、「 a tempo 」とセットで使わることがほとんどです。
次回の目で見て耳で聴く音楽理論は、Section1「 楽譜と音符を学ぼう 」の第10回「 楽譜の上は記号だらけ 」( その2 )です。
最後までお読みいただきありがとうございました。