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「 サムライ 」沢田研二

「 サムライ 」沢田研二
作詞:阿久悠 作曲:大野克夫
1978年1月21日発売

 

暗くなると機動力が発揮できない鳥目男、ハナオです。

 

今回のイントロが短い名曲たちは、沢田研二の「 サムライ 」を取り上げます。

 

 

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「 サムライ 」について 

沢田研二のシングル表題曲

「 サムライ 」は沢田研二22枚目のEP表題曲で、その前年にリリースされたアルバム「 思い切り気障な人生 」に収録された別バージョンです。

 

アルバム版はバラードフォーカスに編曲がなされていますが、今回は記事対象はシングルの方になります。

 

1977年~1982年の沢田研二は無双状態で、TBSのTV番組「 ザ・ベストテン 」では第1位が指定席化していました。

 

「 サムライ 」はそんな絶頂期に発売され、50万枚を超えるヒットを飛ばしました。

 

沢田研二自身のシングル売上では、「 時の過ぎゆくままに 」「 勝手にしやがれ 」「 憎みきれないろくでなし 」「 危険なふたり 」「 追憶 」に続く第6位にランクされます。

 

攻めた歌詞とそこから連想する人物

「 サムライ 」の作詞は大御所阿久悠、ハナオごときが語るまでもございませんが、さすがの出来栄えボキャブラリーセンスはパーフェクト。

 

にもかかわらず、あまりにも攻めすぎた主人公の設定がしばし議論の対象に挙がったりするのは、阿久悠本人も名言しているように“男のわがまま”を具現化したゆえでしょうか。

 

この生き様をダンディと憧れる男性諸氏が多くいらっしゃるようですが、人生はトラブルフリーが信条なハナオには到底なれそうもないし、貰い火が怖いから友達にも欲しくないかな~。

 

ところが身勝手が相容れないこの人物を、ある有名キャラに当て嵌めてみましたらすごくしっくりきてしまいました。

 

それはルパン三世。

 

ロマンチストで伊達男を気取る三枚目、先祖代々の怪盗という負の宿命を背負い、いざとなると懐のワルサーP38が情けを断ち切って火を噴く!

 

一見女性には目が無いように見せて、それでも究極の選択場面では性根の優しさから峰不二子やクラリスたちとも距離を置いて退く。

 

これですよこれ、ルパン三世!

 

本来サムライは石川五右衛門ですが、ストイックすぎて歌詞との相違点がありすぎますし、片手に~斬鉄剣~♪では格好がつかないし。

 

まぁこじつけですけどね、歌にはこういう楽しみ方もあるということでどうかひとつ(笑)

 

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photo by 写真AC

 

ドラマティックなアレンジと3連に嵌らないメロディライン

まずはイントロ、アウフタクトはドラムのタムによるフィルが1拍、ピアノの単音がマイナーペンタトニックで上昇していって最後はクロマティックで歌唱部に繋いで1小節。

 

「 サムライ 」の歌はサビからはじまるいわゆる“頭サビ”で、この歌のもっとも象徴的なリズムパターンが初っ端に登場。

 

ダダッ、ダダッ、ダダッ、ダーダーダダってやつですね……楽譜に起こすとなにげに問題がありそうなので、ダダダでご容赦ください。

 

同部に乗っかる歌詞も刺激的ですが、ハナオが凄いなと思ったのはサビ後半はあえて言葉を排除して「 あ~あ~ 」だけにしたところ。

 

イントロが短い名曲たちで取り上げたさだまさしの「 北の国から 」は全編スキャットのみですし、他にも全編または部分的にスキャットを採用した歌はたくさんあります。

 

しかし、いきなり「 ピストル 」だの「 火の酒 」だの物騒な語彙を並べたてられ聴く側が面食らった後にストーリーも文章も完結させないこの無責任さ!

 

業ですね~、痺れますね~。

 

Aメロはしっとりと伴奏の音数も少なめ、Bメロで若干楽器の符割りが細かくなります。

 

A・Bメロを聴くとこの歌の基本リズムが3連であることがわかります。

 

ところで“3連の歌”と問われて「 サムライ 」を挙げる人ってなかなかいないのではないでしょうか。

 

理由はもちろんサビのダダッ、ダダッ……が曲のイメージを決めつけるほど支配しているがゆえ。

 

でも、実は3連っぽく感じさせないのはアレンジのせいだけではありません。

 

専ら3連刻みの歌は、ビリーバンバンの「 白いブランコ 」やグレープの「 精霊流し 」のように、歌旋律がモロ3連でそれをウリにしているものが多く、作曲・編曲の側からしても3連に則る方が創造しやすいはずです。

 

ところが「 サムライ 」からはその逆の意図がビンビン感じ取れます。

 

連符の頭を休符にしたり途中に三十二分音符を挟んだりと、3連の匂いを消すための工夫が凝らされまくっています。

 

コンセプトを真似て音符や休符を並べるだけなら簡単でも、そこから流麗な旋律を生み出すとなるとどれだけの才能とセンスがいることやら……。

 

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ぶっちゃけ言いますと、「 サムライ 」のメロディは凄すぎてハナオには参考になりません。

 

BPMが62なのもまた渋い!

 

このくらいのテンポだと3連のリズムに寄りかからずに済みますし、歌唱のフェイクで崩しも入れ易い。

 

いや~、分析のし甲斐がある歌です。

 

演奏時間5分08秒。

 

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今回も最後までお読みいただきありがとうございました。