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「 ときめきをBelieve 」谷村有美

「 ときめきをBelieve 」谷村有美
作詞:坂田和子 作曲・編曲:崎谷健次郎
1992年6月1日発売

 

平日毎朝の日課はセブンカフェでコーヒー、ハナオです。

 

今回のイントロが短い名曲たちは、谷村有美の「 ときめきをBilieve 」を取り上げます。

 

 

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「 ときめきをBilieve 」について 

谷村有美の12枚目シングル曲

「 ときめきをBilieve 」は、前作「 幸せ探して 」から2ヶ月弱後に自身12枚目のシングルとして発売され、のちにアルバム「 Docile 」と「 With Ⅱ 」に収録されました。

 

谷村有美はシンガーソングライターとして自分でも作詞作曲をこなす傍ら他者の作品も多く歌っていまして、この歌もアニメソングライターで有名な坂田和子の作詞、説明無用のマルチミュージシャン崎谷健次郎の作編曲です。

 

既に放送30年以上のTBSの人気番組「 世界ふしぎ発見 」に於いて、1992年4月11日~6月27日までエンディグテーマとして流れていましたので、お聞き覚えのある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

また同年上映された角川映画「 アルスラーン戦記Ⅱ 」でもシングルとは別バージョンがエンディングテーマに使われました。

 

シンプルな8ビートと響きわたる崎谷コーラス

イントロはベースの8分弾きクロマチックアプローチが4拍。

 

リズムは気持ちが良いくらい同じノリキープの8ビートで、キメもギミックもまったくありません。

 

段落は頭サビ-間奏1-A-B-サビ-間奏2-A-B-サビ-エンディングと、ポップス編曲の教科書に載せたいくらい真面目な構成です。

 

この素朴なアレンジはもちろん計算されてのもので、詞の項でも触れますが歌のコンセプトに則って編られているだろうことは容易に察しがつきます。

 

アレンジャーが崎谷健次郎ですからやはり目立つのはコーラスで、多重録音による幾人もの彼が、ストリングスのようにハーモニーを奏でています。

 

リードがエレキピアノが淡々と間奏1が4小節・間奏2で8小節、エンディングはコーラスベースでサビコードを繰り返しながらフェードアウト、このおとなしさも潔いですね~。

 

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歌詞にマッチングされたアレンジ

歌詞の内容を要約すると、失恋はしちゃったけど新しい出会いを期待して明るく過ごそうっ!……ということ。

 

つまり、聴いて元気になれるエナジードリンク系の歌です。

 

前向きに歩を刻んでいく主人公の様子を、前述のシンプルな8ビートアレンジが歌詞とマッチして曲調を作り上げています。

 

また、過ぎた過去を振り返りそうになるBメロではマイナーコードを使ってちょっと鬱な気持ちを表現したり、3つあるサビのうち1番の最後だけ音が下がっていく旋律を用いて未完了を意識させたりは、歌謡曲やポップスでは多くみられる手法です。

 

谷村有美「docile」(CD)


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端境期の一里塚となった異色の曲

「 ときめきをbelieve 」はハナオ個人の谷村有美ソングベスト5に選ぶほど好きな歌です。

 

しかし、リリース時にリアルタイムで視聴した際には首を捻ってしまいました。

 

それまでの谷村有美は、彼女がフュージョン経験者がゆえか16ビートを基調とする歌がメインだったのですが、なにゆえ今回はこのようなベースが延々とルート8分弾きの曲を選んだのか?

 

コーラスも彼女自身の高く透き通って美しい、いわゆるクリスタルボイスが聴きたいのに、いかなる理由で崎谷健次郎なのか?

 

釈然としませんでした。

 

その謎は半年後に発売になったアルバム「 Docile 」を聴いたときに氷解しました。

 

過去のアルバムとはコンセプトがまるで違ったからです。

 

全10曲中9曲を書いた谷村有美の詩は日常ある寓話的なストーリーを連想させる指向から等身大の自分を訴えるテーマと代わり、曲の旋律とアレンジはキレよりもハーモニーに傾いてメロウな仕上がりになっていました。

 

正直、最終曲に収められた「 ときめきをbelieve 」のみ他者が作った歌がゆえ、異なり過ぎて浮きまくっているとさえ思いました。

 

谷村有美が今までの殻を脱ぎ捨てて未知なる境地を探しに出たことがヒシヒシと伝わってきたのです。

 

「 ときめきをbilieve 」は、次のステップに踏み出すための飛び石だったのですね、やっと理解できました。

 

結果としてこの歌が、ガラリと作品の指向を変えた谷村音楽の一里塚になったと感じています。

 

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今回も最後までお読みいただきありがとうございました。