すっかり草木も芽吹き初夏に差し掛からんとしたある夜のこと、部屋の外に何者かの気配が……そこでわたしが見たものとは!?
ホラー映画と高いところが大の苦手、ハナオです。
今回は本年自分が体験し、腰を抜かしかかった恐怖の実話をお届けしたいと思います。
「 夏の日のホラー(嘘) 」
アイツはここに帰ってきた
日々少しずつ気温が上がり始め、蒸し暑さも覚えるようになったある日の真夜中、ハナオは二階にある自室でPCをいじっておりました。
いつもならBGM代わりにつけっぱなしにしているTVも、不思議とそのときは耳障りに感じて電源OFF。
近所もすっかり寝静まり、不規則に打つキーボードの音だけが居所を支配しておりました。
パソコンデスクの配置は部屋の隅で、前は壁、そしてすぐ左サイドにはアルミのサッシと飼い猫のパンチでいくつかの穴が作られた障子がはまった窓があります。
すると、突然、部屋の外にある雨戸の戸袋のあたりから
「 ガリガリ…… 」
木を齧るような音が響いてきたのです。
うわ~、なんだろな~、怖いな~、怖いな~
いいえ、この段階ではまだ怖いと感じませんでした。
なぜなら、ハナオはその音の主に心当たりがあったからです。
アイツが……アイツがここに帰ってきた!
異なる行動パターンに覚えた違和感
3年ほど前、夜になると外から雨どい伝いにネズミが屋根裏に上がってきて、ガリガリと穴あけ作業に没頭するようになったのです。
最初の頃は棒などで天井板を下から突いて脅かすと退散していたものですが、そのうち慣れてずーずーしくなり作業を一時中断するのみで逃げようともしなくなりました。
以降、ネズミ除けスプレーを散布したり、毒エサを置いたりしてもまるで効果無し。
どうしよう、業者に頼むとお金かかるし、ウチの猫はナマモノに興味示さないしなぁ~……。
ググりまくって調べた結果、ネズミが嫌いな音を出す発振器というものを見つけたのでネットで購入して設置したところ、その日から屋根裏のボーリング作業はおこなわれなくなったのです。
ざま~みたか! おとといきやがれ!
おとといでもなく、アイツは2週間後にまたやってきました。
発振器の音波などどこ吹く風、なにごとも無いかのごとくガリガリガリガリ。
頭に血が上ったハナオは発振器を追加で注文して部屋に2台取り付けてやりました。
さすがにこれはたまらん! とかのネズミくん、一目散に退散~。
やった経済力の勝利! 人間様にタテつこうなんて10年早いわ、顔洗って出直してこい!
アイツが言われたとおりに顔を洗ったかどうかは確かめる術もありませんが、10年も経たずわずか1ヶ月ほどで三たび戦いのときはやってまいりました。
ネズミ 「 え~と、休工したのはどこからだっけか? ああ、あった、ここだここだ、では続きをば 」……ガリガリガリガリ。
完全にブチ切れたハナオは発振器を更に2台買い足しし、自室に3台、隣の部屋に1台と合計4台の最強パーティーを結成し、しつこいネズミくんを根負けさせてついに追い払ったのでありました。
あの日以来幾星霜( 3年ですが )、永遠のライバルがこのウチに帰ってきたのだなぁ~。
アイツには恨みしかありませんが、それでもちょっと懐かしい……。
それにしてもずっとバトルフィールドは天井の上だったのに、横の戸袋とは珍しい、なにか心境の変化でもあったのかな?
若干の違和感にとまどいつつ、とりあえず追っ払わなくてはと怒りに震えながら障子とサッシを勢いよく開けた次の瞬間でした!
驚愕の初対面
なんと、窓の外にいたのはムササビ!
サイズは手のひらより一回り大きいくらいでしょうか、ハナオとの距離わずか30cm!
いや~たまげましたね~。
思わず飛び退いて「 うわ~っ! 」と絶叫してしまいました。
当のムササビの方も仰天してすぐに掻き消えてしまいましたけど、向こうもまさかいきなり人間の顔が現れるとは予想もしていなかったことでしょう。
ところでハナオの棲家は茨城県南部の住宅街、近くには山も川もあり自然はそれなりに豊かですが、まさかこんなところにムササビがいるなんて……。
いつものように癖のごとくググッたところ、近辺はムササビの生息地として認知されていることがわかりました。
ムササビはときに100m以上も滑空し、人家にこっそりと居候することも珍しくはないそうです。
そ~なんか~、先にひとこと挨拶してくれれば住まわせてやらないでもなかったのにな。
あ、野生のムササビは飼っちゃうと鳥獣保護法に抵触するのでしょうね、たぶん。
では、知り合いついでにムササビに関して一問一答してみちゃいましょう。
普段はどんなもの食べているの?
昆虫やクモ、カタツムリとか木の実や葉っぱ、雑食性だよ
成長するとどのくらい大きくなるの?
種類にもよるけど30~40cm、ちょっとした仔猫くらいの大きさになるよ
寿命は何年くらい?
野生で天敵に襲われたりしなければ10年以上生きられるかな
同じように空を飛ぶモモンガとはどう違うの?
モモンガの方がちょっと小さくて、外観もよりリスっぽいんだ
ひょっとして以前の屋根裏工事業者も、ネズミではなくてムササビだったのかも?
以来部屋にいるときはなにげに物音が気になるようになってしまったハナオでした。
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今回も最後までお読みいただきありがとうございました。